林ふじを氏、蝶丸氏、鈴木しづ子氏の俳句
2008年 12月 03日
接吻のまま窒息がしてみたし (愛・愛・愛)
不倫とは哀しそむきしままの愛 (切なさと、葛藤と。)
背伸びで疲れたあたしに腕貸して (女、ひとり)
君の名でうめし日記或る日無慚に (愛憎)
天と地にママもあたしもひとりぽち (母と娘)
火のいのち絶え絶えとなりなほ恋ふる (もっと、生きたい)
いとほしき桃色の肌にす湯を浴びる
傷ついてむさぼりあってまた別れ
____________________
蝶丸氏の句
振り向けば分子にもどる螢かな
氷河期に耳突き抜けて眠るかな
児を流すもののひとつに天の川
母胎より刺客は来たる夕山河
たましいの焦げしところにカンナ咲く
炎えるかもしれぬ椿を見ていたり
____________________
鈴木しづ子氏の句
ダンサーになろうか凍夜の駅間歩く
性悲し夜更けの蜘蛛を殺しけり
実柘榴のかつと割れたる情痴かな
まぐはひのしづかなるあめ居とりつく
欲望や寒夜翳なす造花の葩
夏みかん酢っぱしいまさら純潔など
コスモスなどやさしく吹けば死ねないよ
欲るこころ手袋の指器に触るる
体内に君が血流る正座に耐う