聖五月 :俳句
2016年 06月 13日
聖五月 土葬の母はほほゑみて
(せいごがつ どそうのはははほほえみて)
季語 : 聖五月(せいごがつ)、聖母月、マリア月 【夏】 ・時候
カトリックでは五月をマリアの月とし、熱心な祈りを捧げる。
美しい季節を称える心も加わって「聖五月」と呼ぶ (by 角川季寄せ)
thank you very much!
ありがとう言わぬ日もありさみだるる 麗門
子の妻と思えば愛し聖五月 to_shi_bo
4月24日に亡くなった義母の葬儀は5月5日でした。
その前日の4日、ブダペストからリヴァプールに到着した私と夫は、すぐに葬儀屋に駆けつけました。
義母の死に目に逢えなかった私たち、せめてその顔を見ておきたかったのです。
腐敗が進んで、夕刻5時には棺の蓋を閉じて、その後は開けられないとのこと。
葬儀屋に着いたのは、夕刻4時半。なんとか間に合いました。
義兄に「顔に青痣がでているけれど、驚かないように」と忠告されていたのですが、
棺におさまった義母の顔は、真っ白で痣も傷も皺もなく、人形のように穢れない面差しでした。
足元からみると、かすかに微笑んでみえる。生前よりむしろ若々しく。
棺をおさめた窓のない小さな部屋は、異質な空間でした。
まるで芝居の書割のような、リアリティのない空間。
そこに佇んでいると、足元から浮き上がってゆくような・・・
夢の中のような・・・
義母がそんなに急に死んでしまうわけがない・・・
このままもう顔が見られないなんて、そんなわけがない。
義母の望みにより土葬の埋葬でした。
義父も火葬だったそうですし、いまどき火葬を望む人が多いのですが。
初めて見る土葬での埋葬。
棺は葬儀の行われた教会から、墓地へ。
棺は、長兄を除いた、兄三人と夫が四隅を担ぎました。
とっても重くて、2メートル近くも掘ったお墓に落っことしそうでドキドキしたとは、夫の感慨。
明後日の6月15日に、またブダペストに飛ばなければならず(英国居住ビザ申請の再挑戦)、
今日、また義母の墓参に行こうと思っています。
まだ墓石がないので淋しいお墓。せめてお花は絶やさないようにしたい。
前回供えてきた薔薇の鉢植は、どうなっているかしら。(現俳協/5月/汝火原マリ)