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ジム・トンプソンが失踪したムーンライト・コテージ@キャメロン・ハイランド、マレーシア

20日にキャメロン・ハイランドに到着した私たちは、21日、ジム・トンプソンが失踪した家の探索に出た。

滞在しているスモーク・ハウスのスタッフに尋ねても、しかとその家の場所は分からない。

「たぶん、ストロベリーパーク・ホテルの近くじゃないかな」

それが唯一のヒントだった。とりあえずストロベリーパーク・ホテルを目指した。

1時間以上もくねくねした山道を迷いに迷い、やっとストロベリーパーク・ホテルに到着。

そこのレセプションで地図をもらうが、「ジム・トンプソンの失踪した家」のヒントは何もない。

彼らも、その家の場所は知らなかったのだ。

結局3時間以上も歩いて疲れ果て、タナ・ラタ(街)のメインロードに着き、中華料理店に飛び込んだ。

夫がビールを飲みながら、女店主に、ジム・トンプソンの話をすると、彼女の顔がぱっと輝いた。

「実は、私もいつか行ってみたいと思っていたの。」

そして彼女は奥から新聞を持ってきて、トップの記事を指し示した。

そこには、ジム・トンプソンが失踪した家、「ムーンライト・コテージ」の写真が掲載されていた。

ムーンライト・コテージ!(月光の館)

よし! 家の名前さえ分かればこっちのものだ!

そして翌22日、タクシーをチャーターし、ムーンライト・コテージと、ほかの観光地を巡ることにしたのだった。

22日は朝から快晴だった。

予約していたタクシーのドライバーに、「ムーンライト・コテージ」と告げると、彼はあっさり頷いた。

なんという幸運、彼は場所を知っていたのか!

と、思ったのである。

ところが、、、

彼も何度か迷って行ったり来たりしながら、「サンライト・コテージ →」という矢印札の方角、

車一台がやっと通れる細い山道を登ってゆくではないか。

「サンライトじゃなくて、ムーンライトなの!」と私が言うのを、夫が「しっ! いいから」と抑える。

一方は山肌、一方は崖である。これで雨でも降ったらどうなるのか。

あるいは対向車が来たらどうなるのか。

ハラハラしながら尚も進んでゆくと、右側に「サンライト・コテージ」が聳えるように建っていた。

そしてその先に「ムーンライト・コテージ →」と表示した古ぼけた札があったのだ!

絶壁の行き止まり、ムーンライト・コテージの入り口には、しっかりバーが降りて「私有地につき立入禁止」と記してあった。

私たちは、タクシーを降り、バーをくぐって庭先に入っていった。

さっそくカメラを構え写真を撮る。誰かに見つかって追い出される前に。

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芝こそ刈られているが、庭も荒れ果て、もう何年も人が住んでいる気配はない。
ぐるりと家の周りを一周してみる。
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こちらが庭に面した、正面玄関のようである。
ガラス窓から中を覗くと、暖炉や階段が見える。昔はさぞやと思わせる重厚な造りであった。
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庭の先は断崖絶壁。ここから落ちたらひとたまりもない。
「ジムは、ここから転落したのでは」と夫は言うが、1967年3月26日にジムが失踪した当時、
莫大な資金をかけて捜索隊が出たのだ。まず真っ先にこの崖下を捜索しただろう。
虎に食べられてしまったのなら、ともかく。。実際、このあたりは虎が出没したそうだが、、。
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庭に建っている、納屋のような建物。
ここも荒れ果てていたが、2006年のカレンダーがかかっていたところを見ると、そのころまでは管理人が住んでいたのかもしれない。
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ジム・トンプソンに関して、興味のある方は、以下、wikipedia より。

1906年にデラウェア州の裕福な家に生まれ、父が評議員を務めるプリンストン大学を卒業後、ペンシルベニア大学で建築学を学ぶ。1931年よりニューヨークで建築家として活躍した後、第二次世界大戦にアメリカが参戦する前にアメリカ陸軍に自ら志願して一兵卒として入隊する。
その後、ノースカロライナ州に湾岸防衛歩兵隊の少尉として赴くものの、1942年には上官の誘いを受けてアメリカ軍の諜報機関であるCIAの前身機関であるOSSに転属した。カリフォルニア州で秘密工作の訓練を受けた後、1944年6月に行われたノルマンディー上陸作戦に従軍し、その後も諜報員としてヨーロッパで活動した。
その後は、ドイツの降伏によりヨーロッパ戦線が終結した後の1945年6月に、ドイツの降伏後も1国でアメリカやイギリス、中華民国などの連合国軍との戦いを続けていた日本軍へ対する秘密作戦に従事するためインドシナ半島に赴くものの、8月に日本軍が降伏し戦争が終結したため、作戦には従事せずに、終戦前に連合国へ鞍替えしたタイに留まることになる。

その後、OSSのバンコク支局長に就任するが、第二次世界大戦の終結により帰国命令を受ける。しかし、アメリカに残る妻と離婚したことなどもあり、タイに残ることを決意し、当時バンコク唯一のヨーロッパ風ホテルとして知られていた『オリエンタル・ホテル』(現在のジ・オリエンタル・バンコク)の経営に携わった後、当時機械織りによる大量生産の普及などで衰退の一途をたどっていたタイ・シルクに着目する。
私財を投げ打ってタイ・シルクの復興とその売込みに没頭した結果、アメリカのファッション業界を中心に注目を浴び、ハリウッド映画『王様と私』の衣装として使用されるなど、欧米諸国でタイ・シルクの人気が上がり、その結果、トンプソンはタイ・シルクを復興させた男として欧米のみならず世界中で知られることになる。

<謎の失踪>
1967年3月26日に、休暇で訪れていたマレーシアの高級別荘地、キャメロン・ハイランドにある友人の別荘『ムーンライト・コテージ』で忽然と姿を消し、マレーシア軍や警察、現地の住人などのべ数百名を動員した大規模な捜索活動にも拘らず、その姿は二度と発見されることはなかった。
失踪当時、トンプソンは自らの名を冠したタイ・シルク製品生産、販売の成功によりアジアだけでなく、アメリカやヨーロッパでも有名になっていただけでなく、失踪当時ベトナム戦争が激化しており、それに伴い東南アジアでも諜報活動が盛んになっていた上に、トンプソン自体が以前諜報機関に所属し、失踪当時もアメリカなどの諜報関係者と接触を持っていたこと、政変が繰り返されていたタイの政府上層部や反政府指導者に知人が多かったことなどから、身代金目的の営利誘拐から諜報活動がらみの誘拐と暗殺、単なるジャングルでの遭難から地元住民による殺害まで、さまざまな失踪理由が取りざたされたものの、現在に至るまでその行方も生死も謎のままである。松本清張はこの事件をヒントに推理小説『熱い絹』を書いた。
なお、失踪から5ヵ月後の8月30日、トンプソンの姉であるキャサリン・トンプソン・ウッド(当時74歳)がペンシルベニア州の自宅で他殺体で発見されているが、この事件の犯人は検挙されておらず、トンプソンの失踪と関連があるかどうかも不明である。

トンプソンがその半生を費やしてその復興と普及に努めたタイ・シルク製品は、現在ではタイの有力な産業の一つとなっており、特に自らの名を冠した『ジム・トンプソン』ブランドは、その高い品質と優れたデザインにより、タイ・シルクの最高級ブランドとして世界的に名高く高い人気を誇る。
『ジム・トンプソン』ブランドのブティックは、バンコク市内をはじめとしたタイ国内だけでなく、日本やジム・トンプソンの母国のアメリカ、イギリスなど世界各国に展開している。


そうそう、私がジム・トンプソンの失踪に興味を抱いたきっかけは、松本清張氏のミステリー小説「熱い絹」でした。
長文の記事を読んでくださり、ありがとうございました!



 
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by mariko789 | 2011-07-24 08:46 | Sony Cyber-shot G | Trackback | Comments(20)
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Commented by tobo at 2011-07-24 10:47 x
こんにちは!
ジム・トンプソンは僕の幼少の頃に戦争ごっこしていたのですね。
(え、”ごっこ”ではないって・・・???)
戦争体験者のその後の生活にちょっと興味がありますが、結論から言うと、とっても豊かな才能の持ち主という感じがします。
やはり離婚しないと才能が発揮出来ないと言うことを彼は証明している・・・
(これも、toboの勘違いだって・・・???)


>ジム・トンプソンの失踪した家
思いの外、豪華でオシャレでいい感じ。
toboがセカンドライフを送るために丹後半島に建築計画している建物のイメージにソックリ~~~。
失踪したり、殺されたりするのが嫌だから、この計画は反故にしよう~~~(大笑
Commented by 桜姫 at 2011-07-24 11:00 x
此処のお家も、お菓子のお家の様に可愛ゆくて素敵ですね♪
清張の「熱い絹」読んでみたくなりました♪
ご一緒に旅してる気持ちになれるUP有難う御座います♪感謝♪
Commented by yamaoji at 2011-07-24 11:19 x
なんか語り口調が、推理小説の文流で、ゾクゾク・ワクワク感を覚えたのは、yamaojiだけですか?
こういう、口調になっている本、読みはじめると、ズーっと一気に読み倒したくなるyamaojiです。
良かったご主人様がご一緒で、流星さん一人観光かと心配しましたよ、やっぱ頼りになりのは、ご主人様ですから!
心と体の為にゆっくり休養・リフレッシュしてださい、お楽しみに。
Commented by メロン at 2011-07-24 11:22 x
Marikoさん、こんにちは^^

推理小説読んでるみたい!!
凄すぎる~
文才がありますね!!
お写真といい文章といい、
Marikoさんはいったい何者なんだ~~

ホンと素晴らしいです♪♪♪

ポチッ☆っと応援♪
Commented by あかね at 2011-07-24 11:55 x
こんにちは♪

マレーシアの風景、一緒に楽しませてもらってます。
ジム・トンプソンはバンコクに行った折、
溜息もので見てきました。
お土産にはお手軽な小物類を(笑)

失踪のお話は何となく知ってたのですが
背景がわかると色々な憶測が出るのも頷けますね。
「熱い絹」面白そう。

それにしてもここを知ってたドライバーさん、good job!
ただいまAM11:55、あと5分でアナログ放送終了となります。
Commented by 麗門 at 2011-07-24 14:54 x
下の写真も含め、英国の田舎の風景と言われても信じてしまいます。

「ムーンライト・コテージ」
格好いいですね。
いっそう旅情が募ります。

いい旅をお祈りしています。
Commented by ユッキー at 2011-07-24 14:59 x
わー。ジムトンプソンのなぞにせまったのね。
わたしも、興味深々。ヒルトンに行くたんびに、お店をのぞくわよ。バンコクの館にも、行ってみたいな。
Commented by 鎌ちゃん at 2011-07-24 15:36 x
こんにちは。
小説風の語り口、思わず惹き込まれましたよ。
でも、目の負担になるので、ジム・トンプソンについての説明は、スルーさせていただきました。
旅をしながら、限られた時間の中で、これだけの文がよく書かれるものですね。
お写真とともに、楽しませていただきました。
Commented by hotate at 2011-07-24 15:57 x
月光の館 ジム・トンプソン失踪の現場に立たれて~念願果たしましたね。
例のテラスや温室はありましたか~? 
地下室など見てみたいものです。
「熱い絹」では敷地内から発見!でしたが、ぞくぞくしますね~(^v^)
Commented by kimcafe at 2011-07-24 17:30
「ジム・トンプソン失踪事件」が海老蔵主演で歌舞伎になります(^^ゞ
Commented by rrrazurrr at 2011-07-24 18:21
へぇ~。。ふぅ~ん。。。
marikoちゃんの文章、相変わらず冴え渡ってます。
おかげでジム・トンプソンってなんだ??な疑問が解決しました(笑)
Commented by イヴォンヌ at 2011-07-24 19:39 x
タイシルクを広めた人なんですね~
成功者であり謎に包まれた失踪・・・

興味津々ですよね~
Commented by kaonoi at 2011-07-24 19:42
ムーンライト・コテージの写真を見る限りでは
定期的に 管理されていると思われますね
星馬の気候では 3ヶ月放って置けば
つる性の植物が壁や屋根を覆い始めます

そういえば、シンガのブキティマヒル (最高地点164m)でも
トラを捕まえた写真が飾ってありました
トラに喰われた可能性は 決して低くはないでしょうね
Commented by Nong-Khai at 2011-07-24 22:18 x
風景がインドシナ見たいだなあと思ったらマレーシアだったんですね!!
確かにジム・トンプソン・ブランドって私でも知ってる位に有名です。
Commented by mariko789 at 2011-07-25 07:49
☆toboさん

>toboがセカンドライフを送るために丹後半島に建築計画している建物のイメージにソックリ~~~。

ぜひぜひ実現してください! 遊びに行きます♪

☆桜姫さま

>ご一緒に旅してる気持ちになれるUP有難う御座います♪感謝♪

こちらこそ、お付き合い頂き、感謝感謝!!

☆ yamaojiさん

時間がなくて書き飛ばしました! じっくり書けばもっと上手に表現できるのですが~~

☆メロンさん

いつも過分にお褒め頂きポチも感謝です!!
Commented by mariko789 at 2011-07-25 07:50
☆あかねさん

投稿、ずっと読んで頂き、光栄です!♪ アナログ終了なのですね~~

☆麗門さん

ね、英国みたいですよね~。私もキャメロンハイランド、すっかり気に入りました!

☆ユッキーさん

私はバンコクの館にも何度か行きました。素敵ですよ~、こんど行ってみてね!

☆鎌ちゃん

長文を読んで頂き感謝! 時間がないので書き飛ばしました、駄文です(汗
Commented by mariko789 at 2011-07-25 07:51
☆hotateさん

投稿文打ちながらずっとhotateさんが見てくれればいいな~と思っていました!
テラスは正面玄関の前にあったのでしょう。温室はなかったです。地下室、見てみたいですね!
次回は、「家を買いたい」と持ち主に告げて中を見せてもらいたい(笑)
昔のままの建物が残っていたようで、本当にラッキーでした!

☆kimcafeさん

>「ジム・トンプソン失踪事件」が海老蔵主演で歌舞伎になります(^^ゞ

実現したらいいな!! 彼は探偵の役。ジムの役はお父様に演じて頂きましょう!

☆rrrazurrrさん

>おかげでジム・トンプソンってなんだ??な疑問が解決しました(笑)

良かった! 長文を読んで頂き、うれしいわん!♪

☆イヴォンヌ さん

たしか、初めてイヴォンヌさんにお会いしたとき、ジムトンプソンのハンカチをお土産に持っていったような記憶が・・・
Commented by mariko789 at 2011-07-25 07:52
☆kaonoiさん

やっぱりそうですよね~。壁とか塗り替えていると思いました!
2008年に売りに出ていたのは確かなんですけど、買い手が見つからなかった。。。
さもありなん、あのロケーションでは。。
トラの可能性、、、怖いですね!!

☆Nong-Khaiさん

マレーシアに来ています。つかお久しぶり!! コメントをありがとうございます!
Commented by ラーダ at 2011-07-27 00:05 x
へ~、意外と可愛いコテージなので驚きました。
バンコクのジムの家はいかにもタイの家なのに・・・
ちょっくら可愛いペンションみたい

失踪話は知っているけど、こういう人生を歩んでいる人だとは知りませんでした。

松本清張氏のミステリー小説「熱い絹」・・・読んでみたいな~
図書館にあるかな
Commented by mariko789 at 2011-07-27 19:41
☆ラーダさん

ここはジムの友人の別荘だった、、つまりジムの趣味ではないのかも。
でも本格的な英国風コテージです。
図書館に、熱い絹、あると思う。
他にも、ジムの失踪を書いたドキュメンタリ風のとか、
ありますよ~~。私は何冊か読みました、
読むほどに謎は深まるばかり!